これは「現代社会と福祉」の第2回レポートで出題された課題ですが、実は「相談援助の基盤と専門職」の第1回レポートでも同じ出題がありました。
「現代社会と福祉」の教科書で「ノーマライゼーション」の索引を探して該当するページには次のように書いてあります。
ノーマライゼーションという思想は1950年代末のデンマークにはじまり、わが国では、1980年代に国際連合による国際障害者年の設定を契機に広まり、今日では障害者福祉のみならず社会福祉全般にわたる理念として定着している。
ノーマライゼーションは、「正常化」ではない、「平常化」あるいは「常態化」という意味である。過去において障害者たちは、一部機能の欠損や低位性によっていわゆる健常者とは異なった存在とみなされ、差別され、隔離されてきた。ノーマライゼーションとは、そのような障害者にみられる障害を、人種、民族、性別、年齢、体重や身長、能力などの違いと同様に、個人の個性としてとらえ直し、お互いをありのままに受け入れる社会を実現するということである。
(社会福祉士養成講座編集委員会編『新・社会福祉士養成講座4 現代社会と福祉』、第3版、中央法規出版(2013)、p.177)
「相談援助の基盤と専門職」の教科書では、次のように書いてあります。
ノーマライゼーションは、障害のある人たちを治療してノーマライズする(普通にする)という意味ではない。ノーマライゼーションは、「誰もが当たり前に、ありのままに、生活したい場所で生活する」という考え方である。
(社会福祉士養成講座編集委員会編『新・社会福祉士養成講座6 相談援助の基盤と専門職』、第2版、中央法規出版(2013)、p.114)
こちらの教科書には、ノーマライゼーションの歴史も書いてあります。
ノーマライゼーションの理念は、1950年代にデンマークで知的障害のある人たちの親の会の活動を通して具現化されてきた。(中略)バンク-ミケルセン(N. Bank-Mikkelsen)は1950年代にデンマーク社会省で知的障害のある人たちをもつ親の会の活動とかかわりながら、施設の改革と人間的な支援を訴えていくこととなり、親の会の要望を文章化して社会省へ提出する際に、「ノーマライゼーション」というタイトルをつけたのであった。
(前掲書、p.115)
教科書にバンク-ミケルセンの写真が載っています。キメ顔のおじさまです。
そしてノーマライゼーションというとバンク-ミケルセン以外にもう一人、必ず出てくる人物がいます。
ニィリエ(B. Nirje)はスウェーデンの知的障害のある人たちの協会、カナダ・オンタリオ州の保健省、スウェーデン・ウプサラの障害福祉部長、そしてウプサラ大学と、国際的に活躍した。彼がノーマライゼーションという言葉に出会ったのは1963年であったとしており、その頃からノーマライゼーションの原理を発展させた。(中略)すなわち、現在、ノーマライゼーションはより広く使われるようになっており、ノーマライゼーションの原理が国際的に承認され、拡大していく過程において、ニィリエが大きく貢献したといえよう。
(前掲書、pp.115-116)
ニィリエは教科書には写真が載っていませんでしたが、インターネットで画像検索すると笑顔の写真が出てきました。バンク-ミケルセンは俳優みたいですが、ニィリエは研究者っぽい感じがします。
教科書の記述だけでもけっこうな分量があるので、概念の説明と、誰が提唱し、誰が広めたか、現在ではどうなっているか、をまとめれば200字くらいにはなると思います。