2015年02月23日

叙述体と説明体(記録)

ソーシャルワーク実践において記録が大切、という話があり、ではどういう記録をすべきか、という流れで出てくるのが叙述体と説明体です。

逐語体、叙述体を筆頭に、要約体、説明体、圧縮叙述体と、さまざまに国家試験で出題されているのですが(第22回問題111、第23回問題109、第25回問題118、第26回問題116)、それに対して教科書は記録の形式のことをほとんど記述していません。

まず、「叙述体」「説明体」が教科書の索引にありません。「記録(ケースカンファレンス)」「記録(コンサルテーション)」「記録(スーパービジョン)」は索引にありましたが、3つとも同じ1つのページを示しています。

上司から受ける短期間のスーパービジョンでは、要約記録や項目記録を使う場合もある。しかし、クライエント個人に対する継続的面接を行う場合、継続的面接を挟んで、例えば1時間のスーパービジョンを受けることがある。このとき、スーパーバイザーに見せるために通常は過程叙述体や圧縮叙述体の記録を使う。

(社会福祉士養成講座編集委員会編『新・社会福祉士養成講座7 相談援助の理論と方法I』、第2版、中央法規出版(2013)、p.284)

この文章のあと、「個別援助記録の例(過程叙述体と圧縮叙述体の折衷)」として、新聞連載小説ですか?!と思うような物語調の文章が掲載されています。過程叙述体とは何か、圧縮叙述体とは何か、という説明は一切ありませんし、例として折衷のものを出しているのでどの部分が過程叙述体でどの部分が圧縮叙述体なのかわかりません。

相談員として、問題行動のある児童を援助するために開催する会議には、簡潔に記録したケース概要を要約記録で提出する。会議終了後に残す会議録(カンファレンスの記録)は、項目式記録を工夫して会議録用の書式を使い簡潔な説明体で記録する。

(前掲書、p.284)

こちらも、この文章のあと、要約記録の例、項目式記録と説明体の例として、例を載せています。だから……要約体とは何か、説明体とは何か、という一般的な定義をしてから具体例を挙げてくださいよ!

索引では1ページしか該当しなかったものの、「相談援助のための記録の技術」という項目で章ができているので、ざっと目を通しました。しかし、それでも叙述体や説明体について定義は見当たりません。「記録の様式と文体」という表のなかで、文体には「叙述体(過程叙述体、圧縮叙述体)、逐語体」があること、種類には「要約体、説明体」があると示されていましたが、これでは叙述体と説明体を一緒に並べることはできないかのようです。ますます謎が深まります。

教科書では埒が開かないので、インターネットで検索してみました。中央法規出版が運営するサイト「けあサポ」で、「介護記録の記述の形式」という記事がヒットしました。この記述によれば、叙述体、要約体、説明体は同じレベルに並べてよいようです。叙述体は時系列で客観的事実を述べ、説明体には記録者の主観が入る、という違いがポイントです。

インターネットにしか明確な根拠がないのはどうも不安だったので、白猫は近所の大学図書館へ行き、福祉用語辞典を引きました。用語辞典でも「叙述体」などとそれぞれの項があるわけではなく「記録」の項にまとめられていました。しかし、この辞典は2003年刊行のものだったので、新しいとは言い難く、最終的にレポートはけあサポに寄った解答になりました。

返ってきた評価はB。模範解答によると、だいたいの内容は合っていたと思います(叙述体は時系列で客観的事実を記述、説明体は客観的事実+記録者の分析や解釈)。模範解答にあって白猫の回答になかった要素は、叙述体は長くなるので要点を絞った圧縮叙述体として用いられることが多いということと、逐語記録は叙述体の一つであるということ。確かに、記録者の分析や解釈が入っているかどうかで、叙述体かそうでないかを分けるのだとしたら、人が話したことを一言一句もらさず全て書きとめた逐語記録も叙述体ということになるでしょう。この点は、言われるまで気づきませんでした。



スポンサードリンク



posted by 白猫 at 12:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 14 相談援助の理論と方法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。