2015年08月02日

グラウンデッド・セオリー・アプローチ

「社会調査の基礎」は、統計学の内容を多く含んでいて、予備知識なしに教科書だけ読んでもなかなか理解が進まないのではないかと思った科目でした。白猫は大学の一般教養で統計学の入門的な内容を勉強したので、それを思い出しながら受験勉強に取り組みましたが、統計学だけでもだめで、社会調査における倫理的配慮、調査の手法などは新たに知る内容でした。

問 「グラウンデッド・セオリー・アプローチ」について100字以上200字以内で説明しなさい。

教科書の索引で探すと「質的調査におけるデータの分析」という節で、グラウンデッドセオリー(GT)とKJ法が挙げられており、GTの説明として次のように書いてありました。
グラウンデッドセオリーとは
 GTは、ストラウス(Strauss, A.)とグレーザー(Glaser, B.)というアメリカの2人の社会学者によって開発され、社会学、心理学といった社会科学のみならず、看護学などの健康科学領域においても広く使われている。GTは次第に、ストラウス版とグレーザー版の二つに分かれていった。このうち、ストラウス版は、ストラウスが看護系の学部の教員を長い間勤めたことから明らかなように、健康科学領域で非常によく用いられている。わが国では、木下が修正版グラウンデッドセオリーを開発し、社会福祉学領域では質的データの分析の主要なものになっている。だが、本来のGTとは大きく異なるという指摘もなされている。
(社会福祉士養成講座編集委員会編『新・社会福祉士養成講座5 社会調査の基礎』、第3版、中央法規出版(2014)、p.140)
そもそも発案者が2人いて、のちに2つの系統へ分かれていったものなので、「これがGTだ」と決められないようです。日本語版Wikipediaの「グラウンデッド・セオリー」の項にも、「この手法の提唱者の、グレイザーとストラウス自身が、後に分析手法の考え方の違いから対立を深めており、また、その他の質的調査研究者からの批判もありさまざまな手法があるため、この手法を厳密に定義することは難しい。」と書いてありました。

でも、国家試験の出題者はグラウンデッド・セオリー・アプローチが大好きらしく、2回に1回くらい出題されています(第26回問題90、第23回問題83選択肢4、第22回問題83)。けっこう具体的にやり方を知らないと解けないような文が出ているので、多少勉強しても点がとれるかわかりませんが、対策なしで試験に臨むのはまずいと思われます。

教科書ではこのあと、GTとKJ法に比較的共通することとして、「データの分類と結合による概念生成」が説明されています。

GTのやり方をものすごくざっくりまとめると、
(1)質的調査で集まった情報をデータ(逐語記録)化
(2)意味のまとまりに区切って切片化
(3)切片にラベルを付ける(コーディング)
(4)(3)まで済んだ切片を整理しまとまり(カテゴリ)をつくる(グルーピング)
(5)(4)のカテゴリを整理しまとまりを作る(以下繰り返し)
(6)最後に達する「これ以上まとめられない状態」を「理論的飽和」と呼ぶ
という感じのようです。

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posted by 白猫 at 12:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 12 社会調査の基礎 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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